政権に関係ない選挙!?
07年07月07日
No.480
国会が閉幕し、マスコミなども一挙に参議院選挙モードになってきた。1億人の有権者が参加する参議院選挙は、まさに国政選挙である。この選挙で示される国民の意思は、安倍首相が何といおうが重い。そんな中で、安倍首相がいわずもがなの消費税発言をした。火に油を注ぐこととは、こういうことをいうのである。安倍内閣を追い詰める材料が、またひとつ増えた。
アメリカの中間選挙は、下院の全議席と上院の3分の1が改選される。しかし、大統領選挙は行われないので、政権交代は起きない。わが国の政権は、基本的には衆議院の議決が優先する。参議院で野党が過半数を制し、野党の推す者が参議院で首相に指名されても、衆議院で別の人物が首相に指名されれば、衆議院で指名された者が最終的には首相になる。従って、政権交代には至らない。
いつもいっているように、衆議院では自民党と公明党は3分の2をはるかに超える化け物のような議席をもっている。だから今回の参議院選挙で、国民は自公“合体”政権を倒すことは常識的にはできない。しかし、国政選挙である参議院選挙で過半数を獲得できなければ、その政権は国民から不信任を受けたことになり、結局は退陣を余儀なくされることになる。
非改選議席と合わせて過半数を維持できなければ、衆議院でいかに議席をもっていてもその政権は機能不全に陥る。与党の非改選の議席は、58しかない。だから与党としては64議席以上とらなければ、過半数を確保することができないのである。改選議席は121であり、その半数は61である。もともと今回の参議院選挙における与党のハードルは高いのである。
新聞や週刊誌などで選挙予測がなされている。いずれも自民党が何議席とれるかというところに重点がおかれている。自民党が45議席を割れば安倍首相は退陣を余儀なくされるだろうといった類のものである。しかし、ほとんどの選挙予測は公明党が獲得する議席を所与のものとしている。果たしてそうだろうか。投票率が10%も上がれば、公明党の議席は比例区でも選挙区でも確実に減少する。今回の選挙のひとつの注目点は、公明党が何議席とれるかだと私は思っている。
自民党が苦戦を伝えられているのは、政府の失政が原因である。自民党の支持者というのは、与党志向はあるものの是々非々というのが多いのである。自民党が長期にわたり政権を担ってきても、あまり独裁的な政権や政党にならなかったひとつの原因はここにある。批判精神こそが、自由主義社会の命なのである。
公明党はいま与党である。公明党の支持者というのは、自民党の支持者とはちょっと違うようである。政府の失政があっても自民党支持者のように是々非々の態度をとらないようである。公明党の政治的パフォーマンスは確か是々非々がウリだったように思うが、公明党の支持者には是々非々という考えがないようである。
今回の年金問題をみても明らかのように、政府の失政といってもその実態は官僚の失政というケースが多いのである。官僚を指揮監督する立場にある与党が、その責任をとらなければならないことになるのである。これが与党のつらいところなのである。公明党の支持者のように政府の失政について非を非としないと、結果として役人天国を許すことになるのである。これが公明党の支持者のためにもならないことは明らかであろう。
このように政府の失政について無批判な公明党支持者を協力を得て、「自民党は苦しいながらも45議席前後の攻防を展開している」というのが、現時点における私の選挙情勢分析である。もし公明党支持者のような上のいうことに従順に従う人々の支援がなければ、1989年(平成元年)の参議院選挙と同じように、36議席前後の攻防となっていることは明らかなのである。ファシズムは、最初は微笑みながらお目出度い人々に支えられてやって来るのである。要注意!!
それでは、また明日。