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怪しげな教育再生論議

07年04月25日

No.406

昨日、全国一斉に学力テストが行われたというニュースが流された。43年ぶりだという。そういえば、私が中学生のころ学力テストが問題となっていたことを薄っすらと憶えてはいるが、私たちが学力テストを受けたのかどうかは子供の時代のことであり記憶していない。今回は愛知県犬山市以外のすべての公立学校で実施されたとのこと。そうすると新潟県十日町市の私が卒業した小学校と中学校でも行われたということになる。

安倍首相は、内閣発足以来いやに教育に力を入れている。教育基本法の改正は、教育内容というよりきわめて政治的な問題のような気がする。教育基本法は、憲法尊重を色濃く謳っている法律である。教育基本法が目指していた新憲法的な価値観に、戦後レジームとして敵対的感情をもっている安倍首相らが目の敵にするのは当然であろう。愛国心をめぐる問題が焦点になったが、それはほんのひとつに過ぎないのである。彼らは新憲法的な価値観全体が気にいらないのである。そのような価値観でわが国の教育を乱暴に“再生・改革”しようとしている。

私は中曽根内閣の時代に、宮沢喜一(宏池会会長)さんから教育問題に取り組むようにいわれて、文教委員会に籍をおいた。中曽根首相が進めていた教育臨調がおかしなものにならないようにする目的があった。中曽根首相には、教育を改革することは一大事という認識が少なくともあった。だから法律に基づく教育臨調をわざわざ作った。いま教育を論じている“教育再生会議”なるものは、安倍内閣の発足直後にバタバタと決められた怪しげな組織である。メンバーをみてもとても日本の教育を託せる人たちではない。基礎的な教養と知識に欠ける安倍首相らを教育する懇談会ならば結構だが、この人たちがわが国の教育を“ 再生”するとはおこがましい限りだ。

『こうした諮問機関で集められる有識者とは通常エキスパート(experts)を意味する場合が多いが、「委員には教育現場の経験者が二人のみ」、「教育問題を専門に研究している学者が一人もいない」、「高齢者が多い」、「思想的な偏重がある」など、その人選に実効性、公正性両面で疑問を呈し「安倍首相の仲良しクラブに過ぎないのではないか」とする批判もある。ただし、有識者には名士(eminent persons)という意味合いもあり、産・官・学の名士を集めたという理解もできるだろう。』……ウィキペィア“教育再生会議”からの引用

教育の改革は、一度はじめれば長い時間かかるものである。ひとつの教育方針を定めたら短気を起こさず、じっと続けなければダメであろう。教育の成果は、長い期間をまってはじめて検証することができる。私たちの世代は、文字通り戦後教育の結果生まれた世代である。だいぶ数は少なくなったが、私たちは戦後教育を問題だという先輩たちと付き合ってきた。しかし、そのようにいう先輩たちに比べて、私たちの世代が特に問題だとは特に思わなかった。私は政治の世界で生きてきたが、私たちの世代が先輩たちに比べ政治的に劣っていると思ったことは全然ない。経済の世界で生きてきた人にとってはどうなのだろうか。

安倍首相らが先輩たちの世代を問題視しているとは思えない。安倍首相らが自分たちの世代を問題視しているとも思えない。そうすると彼らはどのような世代を問題にしているのだろうか。彼らより若い世代を問題視しているのであろう。彼らの年齢から推測すると30~40歳代の世代を先頭にそれ以下の世代を問題視しているのであろう。私たち夫婦には子供がいないために、教育問題には正直いって実感が湧かないのである。そのことは勘弁していただくとして、いまの若者たちにそんなに問題が多いのだろうか。これだけ生活環境が変わってきたのだから、私たちと同じである筈がない。しかし、私たちと同じでないからといって問題視するのは、昔からある“いまどきの若い者は……”の類といわれても仕方ないことではないのか。

私は最近“いまどきの若い者は……”という目で若者をみないように注意している。というより、そんなことをいってみてもどうにもならないからである。そして仮に問題があったとしても、そのツケは彼ら自身が負わなければならないからである。どんなにトンでいても、結婚し子供ができれば、人間のやることや考えることは昔も今もそんなに変わらないことをするだろうし、せざるを得ないのだと私は思っている。私たち大人の世代(若い方からはもう年寄りの世代といわれるかもしれないが……)がいま反省しなければならないことは、若者たちに就職を保障せず、結婚したくてもなかなかできないようにしていることではないのか。晩婚化・少子化も、基本的な責任はここにあると私は思っている。そして、それは政治的な課題でもある。

だから、若者たちにシッカリしてもらうためには、年寄りの世代も大人の世代ももっと政治に関心をもたなければならないのだ。若者たちにチャンとした職を与え、大いに恋をし結婚をしてもらい、子供をもてるようにしてやることだ。そのような物質的課題を解決するのが政治の課題であり責任である。政治家の仕事は、道徳を語ることではない。だが政治道徳を守るのは、政治家の任務である。政治道徳が明らかに欠けている者に、道徳だけは語ってほしくない。そういう政治家が多すぎる。

それでは、また明日。

  • 07年04月25日 01時51分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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