憲法改悪をくい止めることができる都知事選 … 元自由民主党リベラル派・生き残り組の最後の訴え。
16年07月30日
No.1856
都知事選も、あと1日となった。今回の都知事選、最初は参議院選の争点隠しに使われた。参議院選投票日の4日後を告示日としたのも、極めて意図的だったと、私は思っている。そうしておけば、時間的余裕のないことは明白だった。官邸が最初考えていた都知事候補は、桜井前総務事務次官だったと思う。しかし、桜井擁立に失敗した場合に備え、官邸は小池百合子元防衛相を、できるだけ走らせておいたのだ。
野党が都知事選でモタモタしていたので、官邸は、できれば増田寛也元総務大臣を擁立しようと動き出した。最初、安倍首相は、自分なら一本化できると考えていたのだろうが、途中からおかしくなってしまった。“先出しジャンケン”で先行していた小池氏が、 Not Under Controll となったのだ。出馬の意向を示していた宇都宮健児元日弁連会長と小池・増田の三つ巴なら、小池氏の勝利は殆ど確実だった。
そこを見越して、告示日の2日前に“憲法改悪阻止”を掲げて、鳥越俊太郎氏が出馬を表明した。野党4党は、これを歓迎した。宇都宮氏は、最終的に立候補を辞退した。自公候補が分裂している状態での、知名度の高い鳥越氏が野党統一候補となったならば、鳥越氏の勝算は十分にある。これが、今回の都知事選の政治的な構図である。
思わぬ展開となって焦ったのは、官邸であった。官邸の絶対的目標は、鳥越候補の“当選阻止”である。鳥越候補に当選されたのでは、参議院選の勝利が無に帰してしまう。台無しになってしまう。安倍首相の政治力に、陰りが出てしまう。もう、小池候補でも増田候補でも、どちらでもよいのだ。とにかく鳥越候補だけは、絶対にダメなのだ。ちょうど2週間前の月曜日から、戦略が“選挙隠し”から“政府とマスコミの合作による、政敵を抹殺する行為”に変わった。
丸2週間、いろいろなことがあった。しかし、政府与党とマスコミの合作による“鳥越抹殺攻撃”は、一貫して続けられてきた。それは、私が“白色テロ”と表現するほど、常軌を逸したモノだった。それがいかに大変なことであるかは、それを経験した者でなければ理解できないだろう。しかし、鳥越候補はこれに堪えて闘ってきた。多くの良識ある人々が、鳥越候補を支え、闘ってきた。心からの敬意を表する。
そこで、さて、最終情勢は、どうなのだろうか。今日の各テレビ局の都知事選報道を詳細にみたが、直接的にも間接的にも、どこの局も確たる予想をしなかった。たぶん、自信がないのだろう。ハッキリしているのは、「小池候補と鳥越候補が激しく競り合っている」ことだ。自公両党が“締め付けて”当選を図っている増田候補は、やはり苦戦している。私は自民党に長くいて、いろいろな選挙をやってきたが、そもそも、締め付けなんてできるものではない。
今回の都知事選ほど、国政上大きな意味をもつ選挙はない。参議院選で改憲勢力が3分の2を占めて、憲法改正へと突き進みたい安倍首相の野望をくい止めることができるのが、鳥越候補の当選なのだ。安倍首相を筆頭とする自民党の右翼反動が考えている国家観・憲法観は、明らかに反国民的なのである。そのことを身近で知っている元自由民主党リベラル派・生き残り組の白川勝彦の、心からの訴えである。
それでは、また。