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道府県議選の結果について

07年04月10日

No.391

都道県知事選挙は振るわなかったが、道府県議選挙では民主党が躍進したというのが一般的な評価である。永田町徒然草No.381で道府県議選挙の重要性を指摘した。自民党は道府県議を1212議席を獲得したものの前回に比べて97議席減らした。一方民主党は375議席を獲得し、170議席増やした。しかし、厳しいようだが、これを本当に民主党の躍進といえるだろうか。無投票当選者(全国で416人)を出した選挙区の大半は1人区であった。そこではほとんど自民党が議席をとっている。

私がまず問題にしたいのは、この無投票選挙区である。複数区の無投票選挙区もあり、そこでは自民党と民主党で分けあっているところが多い。問題は1人区の無投票選挙区である。そこでの当選者はほとんどが自民党である。無投票選挙区ということは、民主党や共産党が戦いを放棄した選挙区ということである。その選挙区は伝統的に自民党が強いのであろう。だから候補者を出しても当選する可能性が少ないから候補を擁立しなかったのであろうが、こういうことが政党にとっていちばんいけないことだと私は思う。

私は自民党の総務局長のとき、300の小選挙区に空白区は絶対に作らないことを至上命題とした。そして実際に公認候補も推薦候補もいない選挙区はひとつも作らなかった。信じてもらえない話であるが、党本部としては候補を立てただけ、当選することなど期待も予想もしていない選挙区で、数人の自民党候補が当選をしたのである。本当に選挙というものは分らないものである。しかし、このように選挙というものは分らないものであるが、絶対的な真理がひとつだけある。それは、候補者を立てない限り間違っても絶対に当選することはないということである。

416人の無投票当選者を出した選挙区のうち、1人区はおそらく300選挙区前後であろう。自民党は空白区を原則として作らないから、そのほとんどの選挙区で野党が候補者を立てなかったということである。これはいただけない。野党第一党である民主党にはそのような選挙区に候補を擁立する義務があると私は考える。そして候補を擁立すればおそらく約1割の30人くらいは当選するのではないか。仮にそんなに当選者が出なかったとしても選挙を戦う意味は必ずある筈である。4年後には、積極的に候補を擁立するなどというのではなく、空白区は絶対に作らないという目標を立てて道府県議選挙に臨んでほしい。それは“政権交代”を口にする者の責任である

昨日だけで全国の道府県議選挙の全選挙区の票を分析することはとても出来なかったが、関東と新潟県の全選挙区をみた上で大雑把にいえることだけ述べてみる。第一にいえることは、自民党はやはり道府県議選挙では圧倒的に強いということである。正確にいうと野党が道府県議選挙では弱すぎるということである。本当は地方選挙でも国政の選挙と同じくらいの票を野党は獲得できるのであるが、一部の道府県を除き野党はその実力に見合った候補を擁立していないのである。だから当選者を出せないのである。実力に見合っただけの候補者をちゃんと立てていれば、実力に見合っただけの当選者はシッカリと出ているのである。

次に候補者を擁立すれば良いというものでもないということである。やはり“それなりの候補者”を擁立しないと、本来ならば獲得できる得票もできないことがハッキリと判る。それなりの候補者というのは、文字通りそれなりの候補者と解釈してもらって良い。率直にいって野党である民主党には、自民党ほど条件の揃った候補者を集めることは難しいであろう。だが、民主党は民主党にふさわしい候補者でよいのである。民主党にふさわしい候補者の条件は、自民党の候補者の条件よりそのハードルは低くても私は構わないと思う。

民主党がどういう政治家を理想としているか私は知らないが、私が望みたいのは“最低限の常識”をもった人という条件だけは忘れないでほしいということである。“最低限の常識”をもった人?、と怪訝に思う方も多いだろうが、私にいわせればこの“最低限の常識”をもっていない人間が意外に多いのである。選挙に出る者などというのは、そもそもちょっと変わったところがある者と思われがちだが、これはまったく間違っている。政治家の最低の条件は、偉大なる常識人であることなのである。自民党の政治家は、あまりにも常識人過ぎて言葉を変えれば俗っぽい人間が多い。しかし、常識があるということはたとえ俗っぽいといわれても“最低限の常識”がない人間よりはるかにマシなのである。

大きい選挙も小さい選挙も、選挙というものは難しいものである。私は若くして国会議員に当選したため、多くの人から選挙についての相談を受けた。そして相談を受けるとその選挙に関わらざるを得なくなる。選挙の予測というものは、率直にいっていくら経験を重ねても分らないものである。しかし、選挙の結果というものは厳粛なものであり、選挙の結果は必ず何かを明確に語っている。その語っていることを読み取れないようでは、政治家は務まらない。全国の各選挙区の得票をちゃんと分析して、有権者が何を語っているのか正しく読み取るならば、勝った人も目標を成就できなかった人も今回の選挙は決して無駄ではなかった筈である。栄冠を手にされた人には祝福を申し述べ、目標を成就できなかった人には捲土重来を願ってやまない。

それでは、また明日。

  • 07年04月10日 03時00分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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