安倍首相の目くらましを打ち破る術
15年07月25日
No.1765
本格的な夏がやってきた。だが、安保関連法案のケリがついた訳じゃない ─ いや、衆議院通過という中で、戦わなければならない。一口で言えば、極めて厳しい戦いである。しかし、多くの反対行動は、ますます広範囲かつ多様性を帯びている。楽観はできないが、悲観する必要もない。憲法9条を守る戦い、戦争に反対する戦いは、猛暑の中でも続けなければならないし、その中で質が高まっていくのだ。
衆議院で安保関連法案が採決されるかどうかの緊迫した情勢にあった7月15日、白川サイトのホームページのアクセスカウンタが900万ヒットした。その後も、非常な勢いで伸びている。その勢いは、鳩山民主党政権ができる時に迫ろうとしている。だから、私は悲観も楽観もしていないのだ。昨日も、国会周辺では7万人を超えるデモがあった。学生が中心となっているSIEALDsが、その先頭を走っている。心強い限りである。
さて、今回の永田町徒然草では、前半の衆議院の審議でいささか気になった点と、安倍首相が放った“目くらまし”について、ちょっと触れたいと思う。
まず、後者から。最近のニュースを見ていると、安倍内閣はオリンピック内閣のようである。しばらく出番のなかった舛添都知事が、“やっと私の出番がきた”としゃしゃり出て、一枚絡もうとしている。私は、舛添要一という男をかなり昔から知っているが、煮ても焼いても食えない男なのである。要注意、要注意。
前号の永田町徒然草「安倍首相筋の見え透いた大博打」で私が指摘したかったことは、「新国立競技場建設計画の見直しは、国民の批判を逸らそうという意図もっていることは明らかだが、逆に、安倍内閣への国民の批判を強めることになる危険性も
マスコミは新国立競技場問題を盛んに取り上げて、安保関連法案への話題を逸らそうとしている。しかし、新国立競技場問題と安保関連案法の是非は、次元の異なる問題であり、新国立競技場問題を見直したからといって、安保関連法案をいい加減にしても良いということにはならない。そんなことを狙っている安倍首相に、安保関連法案に反対している国民は“国民を舐めるな、国民をバカにするな”という思いを強くしている。
安倍首相が打った大博打は、別の面でも失敗だった。安倍首相たちが目論んでいた東京オリンピックは、新国立競技場だけでなく、多くのプロジェクトで
次に、安保関連法案についてである。今回問題となっている安保関連法案とは、平和安全法制整備法案と国際平和支援法案の二つの法律案である。前者の平和安全法制整備法案は、これまであった周辺事態法等9本の法律を改正し、さらに新たな内容を追加しようというものである。“○○事態”などという訳の分からない用語が盛んに飛び出しているのは、こちらの法案である。
いっぽう国際平和支援法は、PKO協力法の改正と“全く新たな内容を定める法案”である。俗な言い方をすれば、アメリカの尻馬に乗って、アメリカが行っている戦争の後方支援をしようという法案である。アメリカからは喜ばれるだろうが、反対の当事国からは、わが国が敵と見做されることになる。安倍首相はゴチャゴチャといっているが、後方支援は紛れもない戦争加担行為なのである。これ、軍事の初歩的知識。
前者の平和安全法制整備法案は、衆議院の審議で明らかになったように、トンデモないボロ法案である。この法律が成立しても、実際に使うのは無理だし、その可能性もほとんどないのではないだろうか。しかし、後者の国際平和支援法案は、多分に適用される危険性が極めて大である。アフガン戦争やイラク戦争へのわが国の参加・加担は、その都度国会で議論し、法律を作って行われてきた。
当然のことながら、法案を作り、これを国会で通して、初めて実際の支援活動ができることになる。アフガン戦争の時も、イラク戦争の時も、多くの反対があった。安倍首相がよく使う“切れ目のない”安全保障法制とは、たぶん、このことを言っているのだろう。しかし、アメリカと他国の戦争に参加・協力するかどうかは、どこの国でも議論になるだろうし、また、議論が必要であるのは、言うまでもない。
アメリカという国は、これからも地球の
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。