日本のマスコミの国際評価
14年02月17日
No.1654
この永田町徒然草で、私は、わが国のマスコミの劣化を度々指摘してきた。私は決してマスコミ嫌いでもないし、わが国の政治の中でマスコミがそれなりの役割を果たしていたのを、シッカリと見てきた。それにしても、最近のマスコミの有り様は、あまりにも酷過ぎる。前回の総選挙において、そうだった。昨年の参議院選挙でも、そうだった。そして、今回の都知事選におけるマスコミの世論誘導は、極めて露骨だった。そんな中で、東京新聞の次のような記事を目にした。
報道の自由 日本後退59位 原発事故、秘密法響く
【パリ=共同】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」 (RSF、本部パリ) が十二日発表した、世界各国の報道の自由度を順位付けした報告書で日本は昨年の五十三位から五十九位に後退した。東京電力福島第一原発事故の影響を取材しようとするとさまざまな圧力を受けるとされたほか、特定秘密保護法の成立が響いた。
日本は、各国を五段階に分けた分類で上から二番目の「満足できる状況」から、主要先進国で唯一、三番目の「顕著な問題」のある国に転落。東アジアでは台湾や韓国を下回る自由度とされた。日本は昨年も福島の事故について情報の透明性が欠けるとして大きく順位を落としていた。
報告書は特にフリーランスや外国人の記者への圧力を問題視。記者クラブ制度が原因だとし、事故後こうした記者への偏見が強まっていると指摘した。また安倍晋三政権で成立した特定秘密保護法により、原子力問題を取材する記者の活動はより危険なものになるとした。
国家安全保障局 (NSA) による情報収集活動が問題になった米国については「国家安保の概念が悪用された」と批判、昨年から十四ランク低い四十六位とした。対象百八十カ国のトップ3はフィンランド、オランダ、ノルウェー。<2014年2月12日 夕刊>
「国境なき記者団」なる名称を聞くのは初めてだが、アメリカを46位としたり、トップ3をフィンランド・オランダ・ノルウェーとしていることを見ると、かなり信用のある組織のようだ。こういう記事を見ると、私は悲しくなる。私たちが目指してきたのは、自由で民主的な日本であった。そのために、私は努力してきた。自由で文化の高い国を作ることが、私たちリベラリストの目標であり、希望であった。
いくら経済的繁栄を求めても、それを実現するには、それにふさわしい経済の仕組みを作らなければ駄目である。それは、自由主義経済体制を築くことであった。わが国の経済的繁栄は、自由主義経済が上手く機能した結果であった。しかし、この20年間余、わが国は自由主義経済の原理原則に反することを平気で行っている。また、自由主義経済が、政治的自由主義の基礎の上にこそ築かれ得るのは、言うまでもない。
安倍首相はアベノミクを叫び、経済的繁栄を国民に約束している。最近は、賃上げの先頭に立っていて、労働組合のお株さえ奪っているようだ(笑)。しかし、安倍首相の目指す政治は、排外的な右翼反動である。安倍首相のみならず、自民党も公明党と一緒になって、自由主義に反する政治にのめり込んでいる。政治のみならず、社会のあらゆる分野で自由な雰囲気が満ち満ちていなければ、経済の繁栄など、絶対に不可能なのである。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。