もっとひどい台風が…。
13年10月26日
No.1614
10月に入ってからの私の最大の関心事は、特定秘密保護法案であった。永田町徒然草でも、特定秘密保護法案について何度か書いた。真正面から論じなかったのは、リベラルな精神の持ち主なら、こんな法案は論じるまでもなく受け容れられないシロモノだからである。また、特定秘密保護法案の問題の本質を理解しようとしない人々や、理解できない人々は、誰がいくら真面目に論じても、そもそも議論の中身に入ってこないと思うからである。
この特定秘密保護法案は、わが国が自由主義国家として生存しようと欲するならば、これと真っ向から敵対する法律となる。また、わが国が民主主義国家として存立したかったら、特定秘密保護法案など絶対に成立させてはならない。わが国が自由主義国家であって欲しいと希求する国民は、多いであろう。ほとんどの国民は、わが国が民主主義国家であって欲しいと望んでいるであろう。その両面からみて、特定秘密保護法案について、マスコミは最大限の関心をもって報道する必要があった。
しかし、この3週間のマスコミの最大の関心事は、“台風”であった。最近のニュース・報道番組をしっかりと見ていると、誰もが天気“予想”士くらいになれる感じがする(笑)。政治的に穿ってみると、特定秘密保護法案から国民の関心を逸らすために、台風に必要以上の時間を割いている感さえする。最近のマスコミと政府の癒着は、気持ちが悪くなるくらい露骨である。健全なマスコミのない国は、それ自体が非民主的国家の証左である。報道に携わる者は、この自覚をもって、困難でも頑張らなければならない。心から期待する。
10月25日、安倍内閣は、特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出した。野党の反応を見ていると、この法案は成立する可能性が極めて大きい。が、その危険性を報道する番組は、極めて少い。台風の被害を防ぐのも、確かに大事だ。しかし、わが国が自由主義国家でなくなる、わが国が民主主義国家でなくなるということは、もっと重大事だ。また、国民も大きな関心をもっている筈だ。
このようなマスコミに対し警鐘を与える何らかの組織を作らなければ、おかしなこの風潮を治すことはできないのではないか。心ある人士は、然るべき智恵を絞らなければならない。良識ある健全なるマスコミ・報道機関がなければ、自由主義国家も民主主義国家も存立できない。言わずもがなのことだが、良識ある健全な政治家を選ぶことが、自由主義と民主主義を守るためにいちばん必要なのだと、国民は、改めて肝に銘じなければならない。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。