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率直な政治的現状

13年02月10日

No.1553

前2回にわたり、“売党奴”について書いたのは、現在の政治状況をみるにつけ、彼らの罪の重さとその害の甚大さを知って欲しいからであった。現在の民主党その他の野党は、先の総選挙の敗北からどう立ち直っていけばよいのか、その道筋さえ見出せない中で混迷している。このままでは、国民は政治に希望を見い出せず、大きな政治不信が高じ、わが国の民主政治そのものが消滅する懼れさえある。

政治は、昔からひとりではできない。同じ志をもつ人々が仲間を作り、その目的を果たしてきた。この原理は、昔も今も同じである。民主政治の世の中では、この結合は、政党と呼ばれる組織であった。価値観の多様な現代においては、ひとつの政党を作るのには、非常な困難が伴う。しかし、政党を作ることに成功しなければ、人々は、その政治的目標を成し遂げられない。国民的な基盤をもつ政党を作るのは、それ自体が、大きな政治的課題でもある。

わが国においては、自民党という政党が育ってきた。自民党は、長い間政権を担ってきた。自民党は、自由主義をひとつの主要な理念とする政党であった。少なくとも、多くの自由主義者は、自民党に集結してきた。これに対して、社会党という政党が、長い間にわたり、最大の野党として対峙してきた。社会党は、その政治理念として、社会主義的な目標を掲げていたが、必ずしも、社会主義を実現する段階には至らなかった。

社会党は、小選挙区制が衆議院選挙に導入された平成8年前後に、新進党と社会民主党に分裂した。長く守ってきた野党第一党の地位を、新進党、そして民主党に譲り渡した。この10数年間、民主党は、野党第一党として存在してきた。かくて、平成20年8月の総選挙において、政権となった。細かい点はさておいて、万年与党と高をくくってきた自民党を政権党から叩き落とし、国民が民主党を政権党に押し上げた政治的意味は、極めて大きかった。

そもそも、自公“合体”政権は、矛盾に満ちた体制である。自民党は、党内のベラル勢力を殲滅し、自由主義とは縁もゆかりもない政党となった。自民党は、かつての自由民主党と本質的に異なる政党となった。平成18年ころから自民党への批判が高まったのは、この矛盾に対する国民の本能的な拒否反応であった。自民党に対する国民の批判を民主党は受けとめ、参議院選挙、そして総選挙で、勝利したのである。民主党は、こうした政治的推移に忠実になければならなかった。

政権党になった民主党は、それまでにも、いくつかの大きな過ちを犯してきた。しかし、昨年の総選挙における過ちは、それらとは次元を異にする。国民が民主党に対して期待していた、根本的な期待を裏切ったのだ。それは、野田首相の決断した「自民党と公明党と談合して、消費税を10%にした」ことであった。これに対する国民の怒りは、当然であった。このことは、単に消費税増税問題に留まらず、民主党という存在自体に対する否認に繋がるものであった。野田首相の“決断”とは、そのようなものであった。

リベラル勢力を殲滅し、極めて右傾化した自公“合体”政権が再び復活した。本来ならば、リベラル勢力として対峙しなければならない民主党は、壊滅したに等しい。その政治的立場も、これからどうなっていくのかも分からない。これから憲法改正を狙う自公“合体”政権、およびその同類と、国民は戦っていかなければならないのだが、その足場もないのが現状である。自由主義者にとって、現状は極めて厳しい。唯一の希望は、国民が、リベラルな政治を求めていることである

それでは、また。

  • 13年02月10日 05時48分PM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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