国民、国家そして政府
12年01月14日
No.1532
野田首相をはじめとする閣僚は、何かに取り憑かれているようだ。野田首相は、改造内閣を「最善かつ最強の布陣」と息巻いているが、いったい何をしたいのか。要するに、消費税を増税したいのだ。いかなる理由であれ、増税は、国民にとって不利益なことである。申し訳ないという気持ちがなければならないのであるが、そんな素ぶりは微塵もない。まるで、「消費税の増税に賛成しない者は国族だ」と言わんばかりだ。こんな内閣は、国民にとって「最低かつ最悪の内閣」である。
昨日の新聞各紙に、サラッと目を通した。そこにコメントを出している人のほとんどは、消費税の増税に賛成している。消費税の増税を実行することなしに、日本の明日はないと言わんばかりだ。この人たちは、財政再建の道をつけなければならないと主張している。そうしないと、日本という国家が危うくなると信じているようだ。そもそも、日本という国家は危うくなっているのだ。財政の面だけではない。あらゆる分野で、おかしくなっているのだ。その中で、国民の生活は悲惨になっているのだ。
野田首相は「社会保障と税の一体改革」というが、いま悲惨な状態に追い込まれている国民は、消費税の見返りに改善される社会保障によって救われるのか。残念ながら、Noである。そもそも、現在の社会保障政策が破綻しているのだ。まず、そのことを実行してから、消費税の増税をしなければならない。現在行われている社会保障政策は、そのほとんどが旧厚生省(現在は厚生労働省)のバカ役人どもが作った代物(しろもの)だ。年金をはじめ、ほとんどが破綻している。
現在の社会保障政策のほとんどは、国や地方自治体 ─ すなわち“公”が行っている。社会保障のうち、生活保護等のように権力が行わないければならないものもあるが、何も、権力をもった者が行わなければならないものでもない。わが国の権力者は、あまり優秀ではない。率直にいえば、碌なものがいないというのが実情だ。どうしても彼らに委ねざるを得ないもの以外は、彼らにやらせない方が、たぶん良いものになる。
だから「社会保障と税の一体改革」などというキャッチフレーズが、間違っているのだ。こんなまやかしを見破れない評論家たちの言に、国民は騙されてはならない。国家財政が健全になっても、国民の生活が破綻したのでは、いったい何のための財政再建なのだ。国家を守るといって戦争をはじめ、国家さえ危殆に瀕せんとした嘗ての軍部。現在の野田内閣(その実態は財務省代弁内閣)と大手新聞社の言動を見ていると、私は、戦前のそれを連想せざるを得ない。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。