魑魅魍魎の跋扈
11年04月05日
No.1478
福島原発事故をめぐり、毎日毎日、私たちには理解しがたいことが行われている。原子力発電所に関する技術的な知識がないので、私はコメントを控えてきた。“いろいろな先生”がテレビに出演し「大丈夫、大丈夫 !」と力説するが、この3週間余の経過に鑑みると先生方からいくら「大丈夫」と言われても、多くの国民はもう信用できなくなっているのだ。
いつもは理論と器具を相手にいろんなことを考えているのだろうが、この先生たちは人間のことをあまりご存知ないようだ。物理学の理論を駆使して原子力発電所は造られるが、原子力発電所は人間に電気を送る手段なのだ。「人間のことは知らない」では、済ませれないのだ。
永田町では、大連立の話が出てきた。そして、怪しげな面々が時代がかった能書きを並べ立て、大連立を勧めている。いったい誰のための、何をするための大連立なのか。いま大連立を勧めるならば、大災害発生後この面々たちはいったい何をしてきたのだろうか。大惨事に喘ぐ国民のために、いったい何をしてきたのか、何をせよと政府を督励してきたのか。そのような形跡のない者が、この段階で一緒になっていったい何をしようというのか。何とも胡散臭い。
政治の場に身を置く者は、「これまで何をしてきたのか、これから何をしようというのか」を国民に明確に示さなければならない。未曾有の大災害に対する政府のこれまでの災害対策が良いと思うなら、過去の経緯にかかわらず協力すれば良い。政府のこれまでの災害対策が間違っていると思うなら、堂々と批判しそれを正すことが政治家の責任である。
そういう見識がないままの大連立は、政府の責任を免れさせることに手を貸すだけだ。権力がなければ何もできないという言い分は、弁解に過ぎない。権力を持つ者は、結果に責任を負う。結果に責任を負う覚悟のない者は、権力の座にいることが許されないのだ。時には犯罪行為でさえある。自民党はこの覚悟をもって身を処さなければならない。
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。