誰が為に、鐘は鳴る。
09年12月23日
No.1375
今日は天皇誕生日である。こんな日にあまり小難しいことをいうのは本意ではない。本当は「“無”の休み」にしたいのだが、そうはいかないだろう。
どう悩みに悩んだか分からないが、鳩山首相は道路特定財源の暫定税率について最終決定した。それに対する私の意見は、極めて明白である。そのことをくだくだ繰り返す必要はないと思い、昨日は「本文は“ゼロ”」としたのだ。
もうひとつの理由は、国民がどう受けとめるか・さまざまの論者がどういうかを見定めたかったからである。ところが、昨日も私は忙しかった。ニュース報道番組を十分にフォローしたわけではないが、私が見た限りでは、あまり厳しいものがなかったような気がする。しかし、それは道路特定財源の暫定税率に対するマスコミの予断があるからである。毎年3兆円という税金を取るために、自公“合体”政権は膨大なカネを使って情報操作をしてきた。その効果は、いまなお利いているのだ。
「“子供手当の所得制限なし”で鳩山首相が勝ち、“ガソリン税の現状維持”で小沢幹事長が勝った」なる1勝1敗論を説く論者がかなりいた。問題の質と金額を比較すれば、噴飯モノであろう。
「小沢幹事長が出した助け舟に鳩山首相が乗ったのだ」としたり顔でいう評論家やコメンテーターも、かなり多かった。“首吊りの足を引っ張る”ことを助け舟を出すというか。それは、自殺幇助か嘱託殺人というのだ。
ガソリン税の暫定税率の結論を言った時、鳩山首相の顔は引き攣(つ)っていたように見えた。しかし、最終決定をしたのは鳩山首相である。その責任は鳩山首相がとらなければならない。どう考えてもこの問題に関しては、私は擁護も弁護もできない。「なぜこう決断したかは、鳩山首相の説明をよく聞いてもらいたい」と枢要な閣僚たちは言うが、これも無責任だ。寄って集って暫定税率維持を迫っておきながら、その責任はとらないというのは卑劣でさえある。
今回のガソリン税の暫定税率に関する決断を説明しようとすればするほど、鳩山首相は自縄自縛に陥るであろう。だから、無理してあまり言わない方が良いと思う。今回の措置は、法改正を行わなければ実施できないのだ。その改正法案を採決する時、民主党や与党の国会議員一人ひとりが最終的に結論を下すのある。その法案に賛成する与党の国会議員一人ひとりは、その責任を免れ得ないのだ。圧倒的な頭数があるから自分は大丈夫だ、などと思ったら甘い。自公“合体”政権の衆議院議員は、それで失敗したのだ。
国会議員の最大の責務は、法律の制定である。ある法案に対する賛否の責任は、国会議員一人ひとりが負わなければならない。鳩山首相だけでなく民主党と与党の国会議員は、国民に対して今回の“理由(わけ)の分からない措置”について、説明し理解を得なければならないのだ。説明はできても、理解を得ることは極めて困難であろう。来年の夏には、参議院選挙がある。立候補する現職の参議院議員は、特にその責任を問われる。
事の本質は、3兆円の増税法案なのであるから当然である。
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。