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世論調査から窺えるトレンド

09年06月19日

No.1201

最近いろいろな報道機関が麻生内閣の支持率が急落していると伝えている。民主党の勢いが以前のようになってきた、総選挙では善戦するだろうなどと言っている。「鳩山由紀夫民主党代表が誕生すれば、慌てるのは自公“合体”政権だ」と私は予想した。自民党や公明党はその数値を見て、本当に慌てている。足掻きといわれるような不可解な動きも出てきた。現代は、数字が政治を動かす時代なのである。

この永田町徒然草では、『朝日新聞』に掲載された世論調査に基づいて世論の流れをフォローしてきた。2009年2月16日の永田町徒然草No.1084「第7回連続世論調査」を最後にしばらく世論調査に関する記事は書かなかった。それは数値が芳しくなかったからではない。闘いが忙しかったために、私が『朝日新聞』の記事を見逃していたからである。それまで朝日新聞社は毎月第二週の土・日に調査を実施ていたのだが、4月からは第三週の土・日になったからでことが大きな原因である。

もうひとつ理由がある。それは大きな事故や事件が起きた場合に世論は大きく変わるからだ。世論調査は、ある時点の結果を予想するモノではなくトレンド(流れ)を探るために行うのである。ある時点の結果を予想としたいとしても、それまでのトレンドの数値がないと正確な予測できないのだ。だから小沢事件のような大きな出来事が起こった場合、世論調査の数値の評価は慎重にみる必要がある。小沢事件→小沢民主党代表辞任→鳩山“新”民主党代表の誕生は、政治的にきわめて大きな出来事だ。

 今回紹介する数値は、『朝日新聞』に掲載されていた過去5回の世論調査のものである。調査日は、3月7・8日、3月28・29日、4月18・19日、5月16・17日および6月13・14日である。曜日はいずれも土日だ。数字が長く続くので、3月7・8日の前には●を、5月16・17日の前には★を入れた。●は小沢氏の公設第一秘書逮捕直後であり、★は鳩山“新”代表の選出直後である。

いつものとおり、まず内閣支持率の変化から追っていこう。…の前が福田内閣、後が麻生内閣の支持率である。

データ内容データ数値(以下同じ)
福田・麻生内閣の支持率25→19→23→24%…41→42→41→37→22→19→14→●14→22→26→★27→19%
福田・麻生内閣の不支持率60→65→59→58%…42→38→38→41→64→67→73→●70→64→57→★56→65%

小沢事件→小沢辞任→鳩山代表の誕生など、いろいろなことがあったこの4ヶ月間の内閣支持率の推移を分析することはなかなか困難である。小沢氏の公設第一秘書の逮捕直後では、麻生内閣の支持率は依然としてまだ14%であった。それが徐々に上がっていったのは3月末から小沢辞任・鳩山新代表の選出頃までであった。上がったといっても昨年12月頃の数値でしかなかったのだ。それにしては麻生首相も自公“合体”政権の面々もはしゃぎ過ぎていた。

支持率の最後の数字が微妙である。昨年12月から今年2月にかけて 22→19→14% と推移した。今回 27→19% と下がっている。このことからすれば、次回の世論調査では14%前後に落ちる可能性がある。都議選の応援に駆けずり回っているくらいでは危うい。サミットに出席したくらいでも無理であろう。

不支持率は確かに減っていたのだが、麻生内閣誕生後の数ヶ月間よりかなり高かったのである。数次の景気対策、平成21年度予算成立によっても麻生内閣の不支持率を依然として高かったのだ。政権与党にとって、これは非常に辛いことなのである。

次に政党支持率の変化だ。

データ内容データ数値
自民党支持率26→22→22→26%…33→30→32→30→27→24→22→●22→27→25→★25→25→22%
民主党支持率22→26→22→24%…23→22→19→24→23→24→25→●22→20→21→★26→29%
支持政党なし41→38→41→40%…31→34→35→33→38→40→43→●41→41→40→★33→37%
公明党支持率4→3→4→2%…4→4→4→4→2→2→3→●3→2→4→★4→3%
共産党支持率2→2→2→2%…2→2→2→2→2→2→3→●3→3→2→★3→2%
社民党支持率1→1→1→1%…1→1→1→1→1→1→1→●1→1→1→★1→1%
他の政党支持率0→0→0→0%…0→0→0→0→0→0→●0→0→0→★0→0%

私がいつも重要視するのは政党支持率である。内閣支持率などというものはちょっとしたことでかなりの数値が動く。しかし、政党支持率はそんなに簡単に上下しないものなのである。しかも1~3%の変化が大きな意味をもっている。自民党の支持率は確かに3月末に調査では27%になったが、そんな数値は昨年の末にもあったのだ。評判の悪かった福田内閣の時にもあった数値なのである。

これに比して、民主党の支持率が3月中は下がった。これは小沢事件の影響であろう。連日のあの小沢報道である。小沢辞任すべしという意見が圧倒的であった。民主党の中からも小沢氏が代表を務めることに異論があった。しかし、それでも20%は割っていなかったのだ。麻生内閣が誕生した後の数ヶ月間と同じ水準の支持率はあったのだ。そのころ民主党は解散総選挙に追い込もうと焦っていたのだ。

それにしても最後の29%は注目に値する。小沢代表の時代にも無かった支持率である。これは“鳩山効果”であろう。自民党の支持率22%に比べ、7ポイントも高い。これに公明党の3%を加えても4ポイントも高いのである。こちらには共産党の2%と社民党の1%がある。民主党はもっと野党共闘あるいは野党との連携を重視しなければならない。今回の最終決戦は、自公“合体”VS反自公なのだ。

次に「仮に、いま、総選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか」の数値である。

データ内容データ数値
自民党32→30→32→30→28→25→22→●24→27→27→★25→23%
民主党34→32→30→33→36→38→42→●36→31→32→★38→43%
答えない等24→26→29→26→27→28→28→●28→31→31→★26→26%
公明党4→5→4→5→3→3→3→●4→3→4→★5→3%
共産党3→4→2→4→3→4→3→●5→5→3→★3→3%
社民党1→1→1→1→2→1→1→●2→2→2→★2→1%
他の政党0→0→0→1→1→1→●1→1→1→★1→1%

細かい数字を調べていたので、時間がかかってしまった。このつづきは明日書くことにする。読者諸氏も以上の数値をじっくりとみて考えてほしい。

それでは、また。

  • 09年06月19日 12時08分PM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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