川面と底流
09年06月12日
No.1194
日経平均株価が瞬間的だが昨日1万円を超えた。国連安保理事会が北朝鮮制裁決議を決定した。景気動向指数も上向きに転じたという。世界保健機構(WHO)が新型インフルエンザのパンデミックと決めた。自公“合体”政権にとっては、都合の良いニュースが続いている。都議選の自民党立候補予定者の応援に駆けずり回る麻生首相の表情は明らかにハシャいでいる。
しかし、麻生首相や自公“合体”政権が喜んでいられる状況なのか。自公“合体”政権を巡る情勢は、好転しているのだろうか。私は、そうは思わない。このようなニュース報道は、却って自公“合体”政権を追い込んでいるのだと思う。なぜ気付かないのだろうか。世の中を見る目が頓珍漢なのである。政治というものが分かっていないからだ。
昨日の記者会見で川村官房長官は、「政府の経済対策が功を奏したからだ」と言っていた。バカも休み休み言え、と多くの人たちが思ったであろう。雀の涙ほどの定額給付金は、確かに手元に届いた。しかし、史上最大といわれる14兆円の補正予算で恩恵を被ると考える人など、ほとんどいない。補正予算は、実際には一部の人たちしか恩恵を受けない内実なのである。14兆円もばら撒くというのに自分にほとんど関係なければ、除外された人々は怨嗟をもつのだ。それが世の中というものだ。
株だってそうだ。そもそもわが国の大衆は株などやらない。バブルの絶頂期にはかなりの人も手を出したが、ほとんどの人たちは結局のところ大損をした。それ以後、ほとんどの人たちは株などに手を出していない。政府が煽った数年前のミニバブル期、インターネットで大儲けした若者たちが騒がれていた。それに釣られてまた株に手を出した人がいたかもしれないが、今回の世界的バブルの崩壊で大損をして、とうに株など手放している。
資金力がなければ、株価が急激に下がれば手放さざるを得ないのだ。手放した株が上がれば、株を売らざるを得なかった人々は市場を恨む。そんなものである。世界的な株価の乱高下でほとんどの人は大損をしたが、一部の大金持ちだけがその中でも大儲けしたのだろう。ウォール街をはじめとする世界の金融市場には、“トンでもないワル”がいるのだ。
一つひとつ言えば、切りがない。これを一言でいえば、川の流れには川面の動きとは別の流れがあるということなのだ。川の本流の底を流れる流れ、すなわち“底流”である。大切なのは底流なのである。底流がどう流れているかを見間違うとトンでもないことなる。こんなことは日本一の大河・信濃川の傍で育った者は、子供の頃から知っている。その信濃川でもトンでもないことが起きている。信濃川の水――これが悪名高き宮中ダムであるをご覧いただきたい。
それでは、また。