吉と出るか、凶となるか。
09年05月29日
No.1179
報道によれば、平成21年度補正予算案は参議院で採決に付され、野党の反対多数によって否決されるものの、両院協議会を経て衆議院の議決の優先で成立するという。14兆円という史上最大の規模の補正予算案だが、史上稀にみる呆れた補正予算案である。後で考えると、今日という日が節目になるのではないか。吉と出るか、それとも凶になるのか。
予算案というものは、膨大な数字の羅列である。私はそれを見てもどこに問題があるのか、簡単には分からなかった。今回の補正予算案は、野党やマスコミの努力によって、如何にバカらしい予算が盛られているのかが明らかになった。なぜこんな補正予算案を野党は早々と成立させてしまうのだろうか。その魂胆が私には分からないのだ。またもや、予算を成立させることによって、早く解散総選挙に持込もうという作戦なのだろうか。昨年の秋にそんなことがあった(笑)。だとしたら、浅はかな考えである。
予算というのは、税金の使い途(みち)を決めるものだ。税金を1円でも無駄に使うことはあってはならない。こういう場面で、大平正芳首相の「政府が提出した予算案は、ベスト最高のものである」という言を私はいつも思い出す。言葉を厳密に使う大平首相(それ故に“あーうー総理”と呼ばれた)が、“ベスト最高”というにはそのような気概と覚悟があったのだろう。予算案とはそういうものでなければならないと思う。
民主党を中心とする野党が指摘しているように、今回の補正予算案には出鱈目な予算が山ほどある。国民も呆れている。なぜ野党はそんな予算案をやすやすと成立させるのだろうか。補正予算案だって衆議院の議決があった日から1ヵ月後には自然成立する。そんなことは知っている。だからといって、参議院で否決することにより、両院協議会の開催が可能となり、衆議院の議決の優先で十数日も早く補正予算は成立する。バカらしい補正予算の成立に手を貸すことではないのか。私はそう思う。
野党には深い深い高等戦略があるのだ、というのかもしれない。しかし、いまの野党を見ていて、そんな“高等戦略”を持ち合わせていることなど、私は信じない。いつも言っているように、政治とは具体的状況の具体的分析なのだ。14兆円の補正予算の出鱈目さ、杜撰さ、愚かさを明らかにすることがいまの重要事なのだ。そのことにより自公“合体”政権の出鱈目さ・愚かさ・悪辣さなどを徹底的に明らかにすることが、解散総選挙で勝利する道に繋がるのだ。
いずれにしても今日という日が、今後の政局の節目になるような気がしてならない。今日の動きをじっくりと見ていて貰いたい。それでは、また。